ー 子どもたちが大好きなジョージのキャラ弁を、お二人にそれぞれ作って来ていただきました。
小山 キャラ弁はまずキャラクターに似ていることが大事です。あまり細かいことは気にしなくてもいいですが目に特徴があるとかそういうポイントはしっかりおさえておきます。
坂下 確かに、似ていなかったらイヤですよね(笑)。
小山 TVやDVDを見ただけでは作れませんからキャラクターのイラストを拡大・縮小コピーしてお弁当の大きさに合わせて型紙を作ります。アバウトではうまくいきませんね。
坂下 私は相当アバウトなので、これがけっこう大変でした。型紙の作り方は、あらかじめ先生に教えていただいていたのですが……。
小山 ジョージはクリッとした目と、額に特徴がありますから、そこさえおさえれば大丈夫。私は毛のモコモコした感じも出したかったので、薄手のさつま揚げを利用して全体の輪郭を作り、その上にチーズの顔を載せました。目鼻はのりを細く切って貼りつけますが、これがいちばん大変でしたね。薄いとよじれてしまうので、厚手ののりを使った方がいいと思います。坂下さんは、パンですね。
坂下 ジョージを何で作ろうかと考えたときに、娘はパンが好きだから、じゃあジョージの色に近いライ麦パンを使おう! と。そこまではよかったんですが、パンって、細かいところが切りにくいんです。ピッと立っている頭の毛とか。
小山 上手に切れていますよ。パンで色を出すには、トーストしてもいいですね。
ー お弁当作りで大事なことは、やはり栄養バランスでしょうか?
小山 栄養バランスはもちろん大事ですが、パッと見たときにワクワク感があることも、とても大事ですね。食欲旺盛なお子さんならいいんですが、食が細いお子さんだと、「わあ、おいしそう」「楽しい」というのが、2つ3つないと。蓋を開けたときに茶色っぽいものだけでは、食欲がなくなってしまいますから、まずは彩り重視で。赤青黄色の三原色を野菜で入れると、見た目もきれいで栄養バランスもよくなります。
坂下 私は困ったときのプチトマト頼みで、彩りがほしいときは必ず入れます。今回も入れてしまいました。
小山 トマトはいいですよ、ビタミンやミネラルがバランスよく含まれていますし。オクラの緑と、花ウインナーの真ん中に黄色いコーンも入っていますね。
坂下 オクラは娘の大好物なので、塩ゆでして味付けのりを巻いてみました。ウインナーは、こうすると華やかになっていいかな、と。
小山 のりを巻いたり、コーンを入れたりと、一工夫することで食品の種類も増えますね。1日30品目と言いますが、15品目ぐらい食べていれば、まずは安心です。また、お弁当は水分が出るとまずくなります。ですから、たとえば緑の野菜なら、水分の出やすいほうれん草などは避けて、アスパラやブロッコリーを使う。オクラも正解です。
坂下 よかった! 先生に、「お弁当は楽しさが大事で、デザートも一つの方法」と教えていただいたので、デザートも入れました。実は、パンを取ると、その下に隠れているんです。
小山 素晴らしい!
坂下 みかんにハチミツをかけただけなんですけれど。
小山 いいんですよ、簡単なもので。甘いものは、気持ちを落ち着けて満足感を与えてくれますから、入れたいものの一つです。お子さんには「最後に食べてね」と言っておくといいと思います。私は缶入りのミックスビーンズに、やはりハチミツをかけて、ラップでキャンディ包みにしました。ミックスビーンズはサラダ用と思いがちですが、甘みを加えればデザートにもなるんですよ。
坂下 量的にはどうでしょうか?
小山 パンは軽いですよね。4、5歳のお子さんでも、全体で200グラム程度ないと、満腹感が得られません。大人ならば500グラムは必要です。そこでパンの場合は、おかずで重量やカロリーを増やして、満腹感を持たせる必要があります。揚げワンタンやポテトサラダを入れたのは、よかったと思います。
ー 忙しい毎日のなかで、どうすればワクワク感のあるお弁当を無理なく作れるのでしょう?
小山 お弁当は毎日のことですから、「昨日も一昨日もこれが入っていた」では、いけないと思うんです。その日の朝に、やっつけ仕事で簡単に作れるものではないんですね。ですから、あらかじめ1週間分とか2週間分とか、お弁当のメニュー作りをしておくといいと思います。
坂下 うちの場合は保育園に給食がありますが、毎日のお母さんは本当にたいへんだと思います。ただ、子どもたちが外でご飯を食べるのがすごく好きなので、私もお弁当はよく作ります。確かに、毎回同じものだと飽きられてしまいますね。
小山 手間を省くには、たとえば夕食に餃子を作ったら、ついでにその餡をワンタンの皮で包んで冷凍しておく。お茶碗を洗いながら鮭を焼いて、ほぐして瓶に入れておく。こういった“ついで・ながら”をするといいですよ。
坂下 私は、お休みのときにトマトソースを大量に作って、小分けして冷凍し、忙しいときに出して使っています。
小山 とてもいいですね。常備菜があると、使い回しができますから。作った日付を書いて瓶に入れておけば、一目で中身がわかりますしね。
坂下 なんだか自信がついてきました。とはいえ、子どもたちがすごく喜ぶのはわかっていても、毎回キャラ弁を作るのは、大変ですよね。
小山 毎回でなくて、いいんです。お誕生日とか、おひな祭りとか、特別な日に作ってあげれば。嬉しさとおいしさがいっしょになって、大事な思い出になりますよ。
坂下 ほっとしました(笑)。最近、娘が私の手伝いをしたがるので、子供用の包丁を買ってやったばかりなんです。今度、娘といっしょに『おさるのジョージ』のキャラ弁作りをしてみようかな。
小山 いいですね! 食べ物に興味を持つということは、好奇心旺盛になることですし、観察力がつくことでもあると思います。また、食べ物のことは、家族みんなが参加できる、とてもいい話題ですよね。たとえばトマトソースを使ったお料理のときには、「これはイタリアのお料理なのよ」とか、「トマトって、いろんな種類があってね」なんて話をする。そうすると、お子さんが「大きいトマトと、ちいちゃいトマトはどう違うの?」と、質問を返してきたりして、そこからまた話がひろがります。あるいは、「チーズは牛乳で作るのよ」「じゃあ、今度みんなで牧場に牛を見に行ってみようか」といった話にもなりますよね。
坂下 世界が広がりますね。食育って、なんだか難しそうな気がしていましたが、そういう風にすれば、家族全員が楽しめますね。
小山 ええ。その意味でも、ぜひお子さんたちといっしょに、楽しみながらジョージのお弁当を作ってみてください。